【幼児教育の経済学】アベセダリアン・プロジェクトとは何か
幼児教育の実験で有名な、アベセダリアン・プロジェクトについてです。
実験概要
幼児教育の成果を実験するために行われた実験です。
1972年から1977年に生まれた111人の幼児を対象に、57人には質の高い幼児教育を施しました。具体的には、最新の教育理論に基づいた知能ゲームを行う。54人のコントロールグループには、何も施しません。
この実験に参加した98%はアフリカ系アメリカ人です。参加時の平均年齢は生後4.4ヶ月でした。他の幼児教育の研究は2歳ぐらいからスタートするのが普通ですが、このアベベダリアンプロジェクトは幼児の頃から5年間続いたので、他のプログラムよりも比較的に実施期間が長くなっています。
57人の質の高い教育を受けているグループでは、週に5日、1日6-8時間の保育を実施しました。また、言語活動に特化した知能ゲームで幼児は学びました。教師対生徒比率は、5歳の時点で1:3~1:6でした。
もう一歩のグループには、基本的なヘルスケアを行い、教育以外の影響が関係しないようにコントロールしました。
また、この実験に参加した111 人の幼児全員は、母親から受ける教育、収入等の観点からハイリスクと診断されている子供でした。
実験結果
幼児教育を施した後、3歳,4歳,5歳,6歳,8歳,12歳,15歳,21歳,30歳時点で、幼児教育の効果測定を実施しました。効果測定の領域としては、認知能力、学術的能力、教育達成、雇用、親子関係、社会適応能力でした。
まず、21歳の時点では、以下のような効果が観測されました。
・読解力1.8増加した
・数理力が1.3上昇した
・IQが4.4増加した
・言語IQが4.2増加した
・大学入学率が上がった20-42%
・技術職の就職率の向上
・10代で親になる割合が減少26-45%
30歳時点での成果はこうなりました。
・4年生大学の卒業率向上 6% → 23%
・直近2年間での雇用率の向上 53% → 74%
・公的扶助の利用率の低下 20% → 4%
・親になる年齢が遅くなる →2年